引用元:胸がスーッとする武勇伝を聞かせて下さい!(106)
幼稚園からの幼馴染の結婚が決まって招待された。二人姉妹の妹で、小さい頃から人懐こくて可愛くて誰からも可愛がられた友人だったし、数年前から付き合っていて、どちらもフリーターだったので100万貯金ができたら結婚すると宣言していたのでやっとお金が貯まったのか、と一安心したもんだった。
結婚式も途中までは順調だった。新婦は凄く可愛くて、新郎はちょっとダサいながらも温かそうな良い人で。途中で新婦の姉のスピーチがあった。珍しいかもしれないけど、幼馴染はたった一人のお姉ちゃんが大好きで、敢えてお姉ちゃんからお祝いをして欲しい、とお願いしたらしい。
ちなみにお姉ちゃんは地方公務員で独身。昔から真面目で大人しい人で、私も「お姉ちゃん」「お姉ちゃん」と甘えさせてもらったしよく「私子ちゃんが妹ならいいのに」といってくれたので嬉しかったのを覚えている。
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妹のために今日まで何でも我慢してきた。でも、今日から私は自由にいきる。退職届も出してきた。今日から私は「お姉ちゃん」を卒業します。妹ちゃん。貴方が勝手に持ち出して解約した私の積み立ては結婚祝いとしてプレゼントします。
勝手に保険証を持ち出してサラ金から勝手に借りて、毎月1万円ずつ返すといいながら結局1万円しか返さなかったお金も、もういらないです。勝手に持ち出して売り払った本やDVDについても、もう何も言いません。
ちょっと借りるね、といったまま二度と帰ってくることのなかった服や化粧品についても何も言いません。高校の時はじめてできた彼氏を奪ったことも、職場で知り合った男性を横取りしたことも何も言いません。ただ、今日から貴方の「お姉ちゃん」はいなくなります。それだけは覚えておいてください。
場内がシーンと静まり返る中、お姉ちゃんは静かに泣きながら出て行った。誰も後を追わなかった(というか、追えなかった)新婦両親を見ると、母親は俯いたまま泣いていて、父親は決まり悪そうにタバコをふかしていた。幼馴染は高砂の上で顔を突っ伏していた。司会が必死で盛り上げようとするも、寒々しい雰囲気のまま披露宴は終わり、急遽二次会は中止された。
一応その後。
この披露宴の直後からお姉ちゃんは行方不明。以前から準備してたみたいで、家に帰った様子もなかったらしく、披露宴前に書いたと思われる書置きが置いてあったとか。幼馴染は揉めたらしいけど離婚にはならなかった。
何でも新婦両親が土下座して離婚だけは…とお願いしたと聞いた。父親が結婚式の数年前にリストラされ、派遣のような仕事をしていたらしく、実質お姉ちゃんが家計を支えていたから、次の「支え」として新郎が必要だったんじゃないかな?
ただ、この数年後、別件(妻の不倫)で離婚して実家に戻ってきた。その後、父親不明の子を2人ほど産んで、両親・幼馴染・子2人で暮らしてる。上の子はちょっと障害があるらしくて、生活保護受けてるみたい。
お姉ちゃんに関してだけど、別の友人のお姉ちゃんが親しくしていて、その後も連絡を取り合っていて
かなり離れた地域で就職、お金貯めて資格とって病院勤務(検査技師かどうかは聞かなかった)していてそこで知り合った男性と結婚して、子供(女の子)もできたらしい。ただ、二人目の子供は絶対いらない、と言っていたらしく、心の傷は癒えてないんだなぁとちょっと哀しかった。
武勇伝ではないと思うしすーっともしないけど、うん、、、、、
お姉ちゃん苦労したんだね。我慢したんだね。
俺は二人兄弟の弟なんだが、兄が結婚して子供が産まれた時に、兄が俺にこういった。「もうお前が主役じゃないぞ」俺はちょっと驚いた。そんなこと思ってたのか。で、俺は兄にこう言った。「俺が主役だったことなんて一度もなかったよ。」二人でちょっと笑って、それからビールを飲んだ。
自分語りでスマン。俺は運がよかったんだなぁ、と思ったんだ。