引用元:あなたの心がなごむとき~第64章
祖父が亡くなった後、遺品整理の為に祖父宅へ行った。ぼちぼち整理してたら、祖父宅に着いた途端に「俺たち二階見てくるから」と早々に二階に上がった父と伯父の爆笑が聞こえた。何かと思って行ってみたら、A/Vが大量に入った段ボール箱を前に二人が笑い転げていた。
父と伯父、実は生前の祖父から「これはここだけの話だ。家の二階の押し入れの奥、板を外すと裏に空間がある。そこに俺の隠し財産がある。他の親族にバレたら相続で揉めるから、お前達だけでコッソリ取って半分づつ分けろ」と真剣な顔で言われていたらしい。
祖父は昔っから、「母ちゃん(祖母)は由美かおるに似てる」と言って祖母が喜んだ所で「目が二つある所とかそっくりだ」と言い放ったり、「茄子を食うと頭が良くなるんだ。俺はもう充分賢いからお前食え」と自分の皿の茄子を私の皿に放り込んだり (祖父が茄子嫌いなだけ。父と伯父は「茄子を食うと美男になる、俺はもう充分美男だから」と同じ事をされたらしい)、幼少の私の前で入れ歯を外し、「大人は歯の取り外しが出来るんだ」と大嘘ぶっこいたりする適当ジジイだった。
冷静に考えりゃ隠し財産なんていつものくだらない嘘だと気付きそうなものだが、父も伯父も「まさか余命宣告された直後に……今回ばかりは本気だと思って期待したのに!」と笑いながら少々悔しがっていた。A/V箱には「どっきり」と書かれたメモまで入っていた。
もうすぐ三回忌だが、お盆とかの度に過去の適当っぷりと隠し財産事件が話題に上がり、誰一人としてしんみりしない。
おじいちゃんwww
ヤバイw惚れるw
あー、そんな死んでからも周りを笑顔にできる年寄りになりたいw
ということは生きてるうちに努力しないとだな
昨日は義姉を爆笑させたのでこの調子でいこう
>誰一人としてしんみりしない。
なんかここラーメン吹きそうになったと同時にぐっときた
故人の思い出を笑って話せるっていいなあ
本当にこの野郎と思われるような事してたら笑い話にもならんもん
いい人生を過ごした証みたいな気がする