引用元:笑える修羅場、衝撃体験【お茶請けに】4
私はオバチャン会社員。毎朝満員電車に揺られて通勤している。満員電車の乗客は、体は隙間なくみっちり詰め合っているものの、顔だけは面と向かい合わないよう、それぞれに顔や体の角度を微妙に変えている。
が、昨日の朝、私の前に立っていた、大学生風の可愛い女の子が、私に左肩を向ける形で立っていたのだけど、不意に私に顔をグリンッと向けて、私の顔を正面から見つめ、
「あの……っ、気持ち悪いんですけど!!!」(←“けど”に力が入っている)
私「はいっ!?」
私はブサイクだ。自覚は十分にある。しかしそれがいじめのネタになる小中学生の頃ならともかく、大人になってからは、面と向かって「気持ち悪い」と言われたことはない。そう思ったって、心で思って口には出さないのが礼儀じゃないのか、まして満員電車の中で……と考えていたら、駅について、満員の乗客が波打つようにドドドドッと降りていく。
先の女の子は、顔を私に向けたまま、その波に流されるように降りて行った。よく見たら彼女の顔は真っ青で、体に力も入らない様子。ありゃ、貧血を起こしているんだ。彼女の後を追って降りていくと、彼女は駅のホームの柱にすがりつき、そのままずるずるとしゃがみこんだ。
私は彼女の横に立って、駅員さんを探してきょろきょろしていると、彼女はバッグから水のペットボトルを出して飲み、「ああ、もう大丈夫です」と私に顔を向けた。私も会社に遅刻したくないので、彼女をそこに残して、次に来た電車に乗った。
さて、彼女は、ただ満員電車で人酔いして気分が悪くなったので、私に助けを求めて来ただけなのかしら。だったら、もう少し面倒を見てあげても良かったかな。それとも、本当に私の顔を見て気分が悪くなったので、どこかに行ってくれと要求してきたが、自分で電車を降りる方が早いと気づいたのか。それなら、私に追いかけてこられて、すごい怖かったよね。
あなたは優しい人だね
そんなあなたに何かいいことがあるように祈ってる
笑っていいのかな?